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考察のポイント今回の話題の中心になるのは、第262話「あふことは片われ月の雲隠れ」です。
ノーランドのジャヤ島出航後、北の海(ノースブルー)のルブニール王国への帰還後からのストーリーが、昔話のような形式で始まっています。
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ストーリーの概要探検家であるノーランドは、その探検話で子供から大人まで人気を集めていました。
でも、それは人々にとって本当かウソかもわからないような話でした。
あるとき、ルブニール王国に帰還したノーランドは、旅から帰って報告をしました。
このときの報告が、ジャヤ島で黄金郷シャンドラを見た、というものです。
この報告を受けてルブニール王国の王様と、大臣のような人物が驚きつつも顔を見合わせてニヤリ。
(なぜか、このくだりのセリフが無いのも気になります)
その5年後、ようやく偉大なる航路(グランドライン)入りの許可がマリージョアから下りました。
ところが、ノーランドを提督とする探検船に乗船するのは、にわか訓練の兵士たちと、ルブニール王国の国王。
航海中、一部の兵士たちを失いながらもなんとかジャヤ島にたどり着きましたが、そこには黄金郷も、カルガラ達の姿もありません。
その状況を見て激怒した王様は、半年後、ルブニール王国にてノーランドを処刑してしまいました。
しかも、処刑前に証言台に立った「船員」とされる人物は、6年前に航海したものではありませんでした。
結果として、ノーランドは国中に「うそつき」と罵られながら、処刑されてしまったのでした。
ところが、ノーランドが知らなかった真実として、カルガラ達やシャンドラの遺跡は、ノーランド到着の1年ほど前に、ノックアップストリームによって空へ飛ばされていたのでした。
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気になる点上記のストーリーの中で、気になる点がいくつかあります。
まずは、ノーランドの黄金郷の報告を受けたルブニール王国の王様と、ここでは「大臣」としておきましょうか、その2名のそぶりです。
ノーランドからシャンドラの報告を受けた直後、驚いたような表情の後に、王様と大臣と目を合わせてニヤニヤしています。
しかも、くどいようですが、この流れには不自然にもセリフがありません。
次に、ルブニール王国の探検船が偉大なる航路(グランドライン)に入るための許可が下りるまでに「5年」もかかっていること。
そして、ノーランド処刑時に、証言者としてニセモノの船員が現れたことです。
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仮説1:王様と大臣の表情まずは、王様と大臣の表情の変化について考えてみたいと思います。
第262話の序盤でシャンドラの黄金郷の報告を受けて、驚いて、顔を見合わせて、ニヤリ。
当初は、個人的には、
「王様、黄金郷ですって」
「黄金を独り占めしたら、大金持ちになれそうだ」
「行ってみますか、ジャヤに」
のようなやり取りがあったものかと考えていました。
ところが、あくまで解釈の一つとして、王様や大臣が既に、シャンドラの黄金郷の情報を知っていたとしましょう。
そうしたら、
「王様、シャンドラと言ったら、まさか、、、」
「ああ、存在を知られてしまっては厄介だ、政府に連絡を取って、黄金都市など存在しないということにしてしまおう」
「ノーランドを、うそつきに仕立て上げてしまいましょうか」
「これまでも嘘のような冒険話をしてきた彼なら、そうしてしまうのもた易いな」
というセリフを補えなくもありません、あくまで仮説ですが。
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仮説2:偉大なる航路(グランドライン)入り許可までの期間例えば、マリンフォードの頂上戦争を終えて、東の海(イーストブルー)に戻ってきた海軍本部中将(当時)のガープ。
期間は明示されていませんが、ガープ帰還後のダダンの興奮度合いやフーシャ村の村長がルフィの安否情報をほとんど把握していないところからして、ガープはマリンフォード頂上戦争の「数日後」には、偉大なる航路(グランドライン)から出ています。
もちろん、出ると入るとでは勝手が違うでしょうし、ガープは当時中将だったので、すぐに出られたのかもしれません。
でも、「数日」と「5年」とでは、明らかに大きな開きがあります。
今になれば改めて「5年」という長さに不自然さを感じてしまいます。
でも、これが「ノーランドを嘘つきに仕立て上げるための準備期間」と仮定すれば、話は別です。
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仮説3:ニセモノの証言者そして、ノーランド処刑時に現れた、ニセモノの証言者。
処刑台に駆け付けたかつてのノーランドの部下たちも叫んでいるように、6年前にカルガラと会った時の船員ではありません。
そして、本当の船員たちの訴えを、ルブニール王国の王様が直々に「取り押さえろ」と命令しています。
この点も「ノーランドを嘘つきに仕立て上げる策略」である可能性があります。
ノーランドが「知ってしまった」もの
あくまで仮説ですが、ノーランドが探検船の提督を務めていたルブニール王国は、世界政府の加盟国なのかもしれません。
そして、アラバスタ王国のように、王国内のどこかで「歴史の本文(ポーネグリフ)」を守っている国の一つであった、と予測します。
さらに踏み込むなら、「黄金都市シャンドラ」は「歴史の本文(ポーネグリフ)」を守る者たち、つまり世界政府に関わる者たちにとって「不都合な要素」があった可能性があります。
それは「黄金」という、青海で高い値段のつく財宝ではなく、黄金の鐘に書かれていた「古代兵器ポセイドン」のありかなど、不都合な「情報」なのかもしれません。
しかも、出来事の時系列も不可解です。
ノーランドがカルガラと別れてルブニール王国に帰還し、王様に報告。
その4年ほど後にジャヤが空に飛ばされ、さらにその1年後にノーランドの船がジャヤに到着。
半年後にノーランドが処刑、という流れです。
これが、シャンドラが持っている「情報」をもみ消すためのものだとしたら、もしかしたらノックアップストリームは偶然の自然現象ではなく、世界政府が意図的に起こしているものかもしれないと予想しています。
ワンピースの世界には、偉大なる航路(グランドライン)に入ってからは特に現実離れした人物や出来事などがありましたが、物理的に考えて、1万メートルもの高さまで土でできた島を突きあげる「自然現象」なんて、まずあり得ません。
ワンピースの世界観が、ノックアップストリームの現象の違和感を綺麗に中和しているようにも見てとれます。
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シャンドラの存在意義振り返ってみても、空島編は不可解な要素がいまだに残っています。
「心網(マントラ)」が「見聞色の覇気」であることは解明されましたが、神・エネルの存在など、青海に戻っても語るものなどいまだ現れていません。
ここで、つながってきそうなのが、コミックス41巻近辺での「オハラ事件」です。
クローバー博士が五老星に直接語っていた「ある王国」の存在です。
もしかしたら、本当にもしかしたらですが、この「ある王国」とは、シャンドラのことなのではないかと予想します。
「空白の100年」が明けて、800年前に誕生したのが「世界政府」と名乗る組織。
シャンドラにある遺跡などが、その情報を知っているのかもしれません。
そもそもシャンドラ、というかジャヤの島は、昔から島の外との交流を絶ってきた島。
ノーランドがやってきたのが、島の歴史でも例のないほどの来客だというような語り口を、カルガラは見せています。
その、世界政府にとって「不都合な情報を持つ島」の存在を知ってしまったノーランドが、ルブニール王国の王様に報告。
王様は、もしかしたら多少は黄金に目がくらんだかもしれませんが、政府に連絡を取って、「不都合な情報を持つ島」であることを知ります。
このままノーランドの言う黄金郷を発見されてしまえば、「不都合な情報」まで、世界中に明るみになってしまうかもしれません。
そこで、政府の差し金でノーランドを嘘つきに仕立て上げるために、ジャヤへの航海の一年前に、シャンドラを住人ごと空へ飛ばしてしまったのではないか、と予想します。
麦わらの一味が空島へ行ってきたことを、もしかしたら政府は現在でも知らないかもしれません。
いつの日か、政府がそのことを知った時、麦わらの一味に対する警戒の目がより強まる可能性もあるでしょう。
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